日本万国博覧会参加館スタンプ(にほんばんこくはくらんかいさんかかんスタンプ)

日本万国博覧会参加館スタンプ
にほんばんこくはくらんかいさんかかんスタンプ

現在、2025年日本国際博覧会(略称:大阪・関西万博)が大阪の夢洲で開催されています。今回紹介するのは、1970年日本万国博覧会(略称:大阪万博)のパビリオンに設置されていたスタンプです。海外館76館78点、国内関連の館17館19点の計97点を収蔵しています。残念ながら太陽の塔とアメリカ館のスタンプを欠きます。現代は二次元バーコードを読み取るスタンプが普及していますが、55年前のこれらはほとんどが木製ゴム印で、スタンプ台に印面を押し付けて転写する方式です。持ち手はゆるやかにカーブして握りやすくなっています。ゴム面は使用痕が強いのと経年劣化のため判然としませんが、天然ゴムの赤ゴムと耐油性に優れた黒ゴムが使われています。半透明の合成樹脂製は当時まだ広く普及していなかったように思われます。パビリオン独自のスタンプを帳面に押してたくさん集めるというこの行為が、大阪万博で一躍脚光を浴びました。スタンプには「パビリオンの名称」や「Expo’70」、「大阪万博のロゴ」、そして各国の「アイコンとなるもの」がデザインされてそれぞれ特徴的です。
例えば松下館のスタンプでは、パビリオンの外観と中央に大きく「松下館」の文字がデザインされ、それを竹林のモチーフが取り囲むことで、実際のパビリオンのイメージを再現しています。写真2枚目中段左のセイロン(現在はスリランカ)のスタンプ中央に配置されているのは、剣を持つ獅子です。獅子は「シンハ」で、国民の4分の3を占めるシンハラ人のシンボルとなっています。このスタンプにはまだありませんが、1972年の国名変更時に多数派の仏教徒を意味する4枚の菩提樹の葉が国旗に付け加えられました。国旗には少数派のイスラム教とヒンドゥー教のタミル人を意味する緑色と橙色の帯がそれ以前から付されています。スタンプの、水滴のような外縁は、1970年時点で既に菩提樹の葉をイメージしてデザインされたものかもしれません。
今も観光地や鉄道の駅などで、一定のテーマに沿ってスタンプを押して集めるスタンプラリーは人気の高いイベントです。大阪・関西万博でも公式スタンプラリーが注目されているようですが、「巡って」、スタンプを「見つけ」、自らスタンプを「押して」、スタンプを「集める」楽しみは55年経っても変わりません。
〈大阪・関西万博開催期間中10月13日まで2階常設展示室において順次展示中〉

日本 大阪 1970(昭和45)年
全高 7.0cm 5.0×5.0cm
(写真1枚目上中央:ドイツ館スタンプ)
資料番号:2006J8

展示中 2-12
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