第147回展 「東アジアの古代瓦 ―その起源と伝播―」


 日本に瓦が伝わったのは今から約1400年前のことです。飛鳥寺建立のためにやって来た三国時代の百済の技術者が、瓦の作り方や紋様を我が国に伝えたのがはじまりです。そのため百済の瓦と飛鳥寺創建当初の瓦はよく似ています。 
 東アジアの瓦は中国を起源とし、紀元前11世紀に興った西周という国で使われていたものが最古といわれます。当初はどの瓦にも紋様はなく、無紋の瓦が屋根の一部を覆っていました。やがて独特の意匠を施した軒瓦や棟の端を飾る鬼瓦が誕生すると、徐々に甍を豊かに飾り始めることになります。 
 軒瓦とは軒の先端部分を飾る瓦のことで、屋根を構成する重要な瓦の一つであり、独特の紋様と長い歴史をもっています。さらに、軒瓦に表された紋様は時を超え、やがてその一部は現代の伝統工芸にも生かされるようになります。 
今回の天理ギャラリー展では、天理参考館が所蔵する東アジアの軒瓦を中心に、瓦の歴史と瓦がもつ紋様の美しさを、考古学と美術史の両面から眺めてみたいと思います。

 

トウテツ紋半瓦当 中国・河北省 戦国時代 幅:17.3cm

トウテツ紋半瓦当 中国・河北省 戦国時代 幅:17.3cm

◆会期:2012(平成24)年9月28日(金)~11月24日(土)
◆開館時間:午前9時30分~午後5時30分
 ※入場は午後5時まで
◆休館日:毎週日曜日 ※11月3日(土)は臨時休館させていただきます。
◆入館料:無料
◆会場:東京天理ビル9階 天理ギャラリー
◆列品解説(ギャラリートーク)
 日時:2012(平成24)年9月28日(金) 午後1時30分から
 担当:太田 三喜当館学芸員

 

147_book展示図録

サイズ/B5版、カラー27頁、モノクロ3頁
頒 価/600円

展示詳細

 瓦は日本で発明されたものではありません。日本の瓦は今から約1400年前、飛鳥寺建立のために朝鮮半島の百済よりやって来た技術者が、瓦の作り方や紋様の施し方を伝えたことに始まります。そのため三国時代の百済の瓦と飛鳥寺創建当初の瓦はよく似ています。
 東アジアの瓦は、さらにその系譜をさかのぼれば中国にたどりつきますが、中国の瓦は紀元前11世紀に興った西周で作られたものが起源です。当初の瓦には紋様がありませんでしたが、やがて軒先に紋様をもつ軒瓦や棟端を飾る鬼瓦などが生まれ、甍(いらか)を豊かに飾り始めました。軒瓦は軒の先端部分を飾る瓦のことで、丸瓦の列の先端部分を軒丸瓦、平瓦の列の先端部分を軒平瓦とよび、それぞれに長い歴史と独特の紋様をもっています。瓦に表された意匠は時を超え、やがて現代の伝統工芸にも生かされるようになります。
 今回の企画展では、当館が所蔵する瓦の中から東アジアの瓦を概観し、瓦の歴史と瓦がもつ紋様の美しさを、考古学と美術史の観点から眺めてみたいと思います。

 

出品リスト

 

No. 資料名 地域 出土地 年代 法量(cm)
1. 饕餮紋半瓦当 中国 河北省 戦国(燕) 幅17.3
2. 饕餮紋半瓦当 中国 河北省 戦国(燕) 幅16.3
3. 饕餮紋半瓦当 中国 河北省 戦国(燕) 幅19.5
4. 鳳凰紋軒丸瓦 中国 出土地不明 秦 径14.5
5. 白虎紋軒丸瓦 中国 出土地不明 漢 径19.0
6. 瓦当范型 中国 出土地不明 漢 径18.5
7. 蕨手紋軒丸瓦 中国 平壌府土城里 漢 径17.1
8. 文字紋軒丸瓦 中国 出土地不明 漢 径17.5
9. 文字紋軒丸瓦 中国 出土地不明 漢 径19.0
10. 文字紋軒丸瓦 中国 平壌府土城里 漢 径16.0
11. 四葉座紋軒丸瓦 中国 平壌府土城里 漢 径17.8
12. 4弁蓮蕾紋軒丸瓦 朝鮮半島 大同郡上城里 高句麗 径17.1
13. 鬼面紋軒丸瓦 朝鮮半島 大同郡酒岩里 高句麗 径14.3
14. 鬼面紋軒丸瓦 朝鮮半島 大同郡酒岩里 高句麗 径16.0
15. 鬼面紋軒丸瓦 朝鮮半島 大同郡揚岩里 高句麗 径14.6
16. 獣面紋谷瓦 朝鮮半島 大同郡上五里 高句麗 幅19.5
17. 結紐紋軒丸瓦 朝鮮半島 大同郡平川里 高句麗 径16.2
18. 巻雲紋谷瓦 朝鮮半島 平壌府土本町 高句麗 幅20.1
19. 獣面紋谷瓦 朝鮮半島 大同郡新水里 高句麗 幅15.4
20. 重弁8弁蓮華紋軒楕円瓦 朝鮮半島 臨海殿跡 統一新羅 径16.7
21. 禽獣紋楕円瓦 朝鮮半島 出土地不明 統一新羅 径16.1
22. 4弁蓮蕾紋軒丸瓦 朝鮮半島 大同郡土城里 高句麗 径14.4
23. 5弁蓮蕾紋軒丸瓦 朝鮮半島 大同郡東大院里 高句麗 径15.0
24. 5弁蓮蕾紋軒丸瓦 朝鮮半島 大同郡東大院里 高句麗 径14.0
25. 複弁6弁蓮華紋軒丸瓦 朝鮮半島 大同郡酒岩里 高句麗 径19.4
26. 6弁蓮蕾紋軒丸瓦 朝鮮半島 大同郡大聖山 高句麗 径15.3
27. 連続渦巻紋軒丸瓦 朝鮮半島 大同郡平川里 高句麗 径15.2
28. 重弁8弁蓮華紋軒丸瓦 朝鮮半島 大同郡上五里 高句麗 径16.0
29. 8弁蓮蕾紋軒丸瓦 朝鮮半島 平壌府内橋口町 高句麗 径14.8
30. 8弁蓮華紋軒丸瓦 朝鮮半島 大同郡平川里 高句麗 径17.3
31. 15弁蓮華紋軒丸瓦 朝鮮半島 平壌市櫻町 高句麗 径16.9
32. 16弁蓮華紋軒丸瓦 朝鮮半島 大同郡平川里 高句麗 径15.0
33. 8弁蓮華紋軒丸瓦 朝鮮半島 出土地不明 百済 径15.0
34. 8弁蓮華紋軒丸瓦 朝鮮半島 出土地不明 百済 現幅12.3
35. 8弁蓮華紋垂木先瓦 朝鮮半島 出土地不明 百済 現幅12.5
36. 8弁蓮華紋軒丸瓦 朝鮮半島 忠清南道扶余 百済 径13.8
37. 6弁蓮華紋軒丸瓦 朝鮮半島 出土地不明 古新羅 径16.2
38. 8弁蓮華紋軒丸瓦 朝鮮半島 皇聖寺 古新羅 径14.7
39. 迦陵頻迦紋軒丸瓦 朝鮮半島 普門寺 統一新羅 径15.0
40. 8弁複弁蓮華紋軒丸瓦 朝鮮半島 出土地不明 統一新羅 径14.0
41. 重弁8弁蓮華紋軒丸瓦 朝鮮半島 普門寺 統一新羅 径12.1
42. 重弁8弁蓮華紋軒丸瓦 朝鮮半島 出土地不明 統一新羅 径13.4
43. 8弁宝相華紋軒丸瓦 朝鮮半島 臨海殿跡 統一新羅 径15.3
44. 宝相華双禽紋軒平瓦 朝鮮半島 慶州 統一 新羅 幅31.8
45. 葡萄唐草紋軒平瓦 朝鮮半島 興輪寺 統一新羅 幅29.7
46. 唐草紋軒平瓦 朝鮮半島 出土地不明 統一新羅 幅26.8
47. 鬼面紋鬼瓦 朝鮮半島 慶州 統一新羅 高24.1
48. 鬼面紋鬼瓦 朝鮮半島 慶州 統一新羅 高25.0
49. 素弁10弁蓮華紋軒丸瓦 日本 飛鳥寺 飛鳥 径17.4
50. 素弁9弁蓮華紋軒丸瓦 日本 飛鳥寺 飛鳥 現幅15.5
51. 素弁11弁蓮華紋軒丸瓦 日本 飛鳥寺 飛鳥 現幅13.4
52. 素弁8弁蓮華紋軒丸瓦 日本 豊浦寺 飛鳥 現幅15.0
53. 素弁8弁蓮華紋軒丸瓦 日本 豊浦寺 飛鳥 現幅14.7
54. 素弁8弁蓮華紋軒丸瓦 日本 奥山久米寺 飛鳥 現幅13.2
55. 素弁8弁蓮華紋軒丸瓦 日本 奥山久米寺 飛鳥 現幅10.1
56. 素弁8弁蓮華紋軒丸瓦 日本 奥山久米寺 飛鳥 現幅18.1
57. 素弁9弁蓮華紋軒丸瓦 日本 法隆寺 飛鳥 幅現14.8
58. 素弁9弁蓮華紋軒丸瓦 日本 法隆寺 飛鳥 径16.4
59. 素弁8弁蓮華紋軒丸瓦 日本 法隆寺 飛鳥 径19.1
60. パルメット紋軒平瓦 日本 法隆寺 飛鳥 現幅17.5
61. パルメット紋軒平瓦 日本 法隆寺 飛鳥 現幅27.3
62. パルメット紋軒平瓦 日本 法隆寺 飛鳥 現幅15.5
63. 複弁8弁蓮華紋軒丸瓦 日本 法隆寺 飛鳥 径18.7
64. 複弁8弁蓮華紋軒丸瓦 日本 法隆寺 飛鳥 径18.2
65. 複弁8弁蓮華紋軒丸瓦 日本 法隆寺 飛鳥 径17.6
66. 複弁8弁蓮華紋軒丸瓦 日本 法隆寺 飛鳥 径17.2
67. 均整忍冬唐草紋軒平瓦 日本 法隆寺 飛鳥 幅29.7
68. 均整忍冬唐草紋軒平瓦 日本 法隆寺 飛鳥 現幅30.4
69. 複弁8弁蓮華紋軒丸瓦 日本 川原寺 飛鳥 径17.7
70. 4重弧紋軒平瓦 日本 川原寺 飛鳥 幅25.3
71. 複弁8弁蓮華紋軒丸瓦 日本 藤原宮 飛鳥 径18.1
72. 鬼面紋軒丸瓦 日本 慈光寺 奈良 径17.1
73. 底に蓮華紋のある彩陶鉢 タイ・バンチェン 出土地不明 前10~5世紀か 径21.0
74. 飛禽蓮枝紋鏡 中国 出土地不明 唐 径21.2
75. 参考2 飛禽花紋八花鏡部分 中国 出土地不明 唐 径23.5
76. 蓮弁紋青磁椀 朝鮮半島 出土地不明 高麗 径16.8
77. 蓮華紋鬼瓦 日本 奥山久米寺 飛鳥 高29.4
78. 蓮華紋鬼瓦 日本 山村廃寺 飛鳥 現高24.0
79. 単弁8弁蓮華紋軒丸瓦 日本 山村廃寺 飛鳥 径18.9
80. 花唐草紋七子地銀小合子 中国 出土地不明 唐 径5.0
81. 双鹿宝相華紋セン 朝鮮半島 慶州 統一新羅 幅30.6
82. 宝相華紋セン 朝鮮半島 慶州 統一新羅 幅15.8
83. 唐草紋軒平瓦 日本 藤原宮 飛鳥 幅28.5
84. 海獣葡萄鏡 中国 出土地不明 唐 径11.7
85. 葡萄紋小鏡 中国 出土地不明 唐 径5.3
86. 葡萄唐草紋軒平瓦 日本 岡寺 奈良 現幅14.7
87. 葡萄唐草紋軒平瓦 日本 慈光寺 飛鳥~奈良 現幅15.3
88. 葡萄唐草紋軒平瓦 日本 岡寺 飛鳥 現幅7.8

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