第70回企画展 「青銅のまつり」
古代日本には、大陸や朝鮮半島からさまざまな物資や技術が伝えられました。特に稲作はそれまでの人々の生活を一変させ、永(なが)く日本文化の基礎となりました。弥生時代の前期には、青銅器と鉄器がほぼ同時に伝わり、まもなく国内での生産も始まります。
青銅とは銅と錫(すず)の合金のことで、含まれる金属の割合によって色や硬さが異なります。青銅器には、銅鐸(どうたく)・武器(銅矛(どうほこ)・銅剣(どうけん)・銅戈(どうか))・鏡などがあります。なかでも銅鐸は、五穀豊穣を願うまつりの道具とされ、弥生時代を代表する日本独自の青銅器です。
鉄製の武器が広まると青銅製の武器は、実用性を失い銅鐸と同じようにまつりの道具となり、しだいに大型化します。銅鐸は音を鳴らすための小型品から、高さが1mを超えるような、据え置き用のものも出現します。やがて、これらの青銅器は弥生時代の終わり(3世紀中頃)とともに多くが人里離れた山の斜面などに埋められ、いつしかその存在すら忘れられてしまいます。
本展では関連する東アジアの青銅器も併せてご紹介します。今では緑青色の銅鐸も当時は黄金色に輝いており、青銅器に託した古代人の想いや、その美術的な魅力を感じて頂ければ幸いです。
◆会期:2013(平成25)年10月2日(水)~12月2日(月)
◆会場:当館3階企画展示室1・2
◆後援:奈良県天理市、奈良県教育委員会、天理市教育委員会、読売新聞社、NHK奈良放送局
展示詳細
日本人は古くから西方より伝わったさまざまな文物や技術を、巧みに取り入れて日本独自の文化を形作ってきました。特に、稲作農耕の伝来・定着による弥生時代の始まりは、狩猟採集経済から農耕生産経済へと大きな社会変革をもたらしました。そうしたなか、朝鮮半島から青銅器と鉄器がほぼ同時に伝えられました。今からおよそ2,400年前のことです。
青銅器には、銅鐸(どうたく)・武器(銅矛(どうほこ)・銅戈(どうか)・銅剣(どうけん))・鏡などがあります。なかでも銅鐸は、五穀豊穣を願うまつりの道具とされ、弥生時代を代表する日本独自の青銅器です。
弥生時代中期後半以降、鉄製の武器が普及すると青銅製の武器は、実用性を失い銅鐸と同じようにまつりの道具となり、しだいに大型化します。銅鐸は音を鳴らすための小型品から、高さが1mを超えるような、据え置き用のものも出現します。やがて、これらの青銅器は弥生時代の終わり(3世紀中頃)までにその多くが人里離れた山の斜面などに埋められ、いつしかその存在すら忘れられてしまいます。
今回は本館所蔵の弥生時代青銅製品(銅鐸・銅矛・銅戈・銅剣・銅鏃など)を複製品も含めて約30点紹介します。また、日本の青銅器の源流と考えられる中国・朝鮮半島の関連資料、文様や土中保管など銅鐸との類似性が指摘される中国南部地方やタイの銅鼓(どうこ)など、海外の資料約60点を併せて展示します。
青銅器に託した古代人の想いや、その美術的な魅力をご覧いただけましたら幸いです。
関連イベント
記念講演会 『まじないと青銅器』
日時:2013(平成25)年10月12日(土) 午後1時30分から
講師:金関 恕氏(天理大学名誉教授・大阪府立弥生文化博物館名誉館長)
場所:陽気ホール(当館西隣)
受講料:入館料のみで受講できます
定員:370名(当日先着順)
トーク・サンコーカン(公開講演会) 「卑弥呼のまつり ―銅鐸から鏡へ―」
日時:2013(平成25)年11月16日(土) 午後1時30分から
講師:高野 政昭(当館学芸員)
場所:当館研修室
受講料:「関西文化の日」により無料で受講できます
定員:100名(当日先着順)
ギャラリートーク(展示解説)
日時:2014(平成26)年10月25日(金)・11月26日(火) いずれも午後1時30分から
場所:当館3階企画展示室
青銅の響き ―バリガムランコンサート―
日時:2013(平成25)年10月20日(日) 午後1時30分から
場所:当館エントランスホール
●チラシ
●実測図
出品リスト
No 資料名 サイズ(cm) 出土地
1. 流水文銅鐸 高さ42.0cm 伝徳島県吉野川沿岸
2. 袈裟襷文銅鐸 高さ19.4cm 出土地不詳
3. 袈裟襷文銅鐸 高さ28.4cm 伝静岡県伊豆市堀切 益山寺
4. 袈裟襷文銅鐸 高さ64.0cm 滋賀県野洲郡野洲町小篠原大岩山
5. 袈裟襷文銅鐸 高さ65.5cm 滋賀県野洲郡野洲町小篠原(推定)
6. 袈裟襷文銅鐸 高さ92.5cm 伝伊勢国(三重県)
7. 袈裟襷文銅鐸 高さ115.0cm 出土地不詳
12. (中広形)銅矛残欠 長さ32.0cm 福岡県筑紫郡春日町須玖岡本
13. 中広形銅矛 長さ72.7cm 北九州(推定)
14. 中広銅矛 長さ74.2cm 不詳
15. 中広形銅矛 長さ80.0cm 不詳
19. 細形銅戈 長さ21.5cm 福岡県筑紫郡春日町須玖 久我氏屋敷内
20. 中広形銅戈 長さ40.5cm 福岡県田川郡糸田町糸田宮山
21. 異形銅戈 長さ15.3cm 伝埼玉県入間郡飯能町(現飯能市)岩深
22. 細形銅剣 長さ31.7cm 大分県玖珠郡玖珠町
23. 平形銅剣 長さ46.2cm 伝福岡県宗像郡津屋崎町勝浦
24. 銅鏃 長さ3.7cm 愛知県田原市保見貝塚
25. 銅鏃(2点) 長さ3.3・3.8cm 奈良県天理市布留遺跡杣之内(北池)地区
26. 饕餮文鐸(鉦) 高さ23.6cm 殷末~西周前期
27. 変形?龍(雷)文鐘 高さ34.9cm 殷末~西周中期
28. 雷文編鐘 高さ23.5cm 春秋~戦国
29. 饕餮蟠?文編鐘 高さ29.0cm 春秋~戦国
30. 変形饕餮文銅鈴(2点) 高さ5.6・7.0cm 殷~西周 象嵌
31. 素文銅鈴(2点) 高さ6.5・6.5cm 戦国~漢
32. 幾何学文銅鈴(8点) 高さ3.0~5.4cm 戦国~漢
33. 馬鐸(2点) 高さ3.5・3.0cm 伝朝鮮半島 青銅器時代
34. 小銅鐸 高さ4.4cm 伝朝鮮半島 青銅器時代
35. 銅矛 長さ26.2cm 戦国
36. 銅矛 長さ21.5cm 春秋末~戦国
37. 銅矛 長さ19.0cm 春秋末~戦国
38. 銅矛 長さ17.2cm 戦国~漢
39. 銅矛 長さ24.8cm 戦国~漢
40. 銅戈 長さ20.1cm 戦国
41. 銅戈 長さ19.4cm 戦国
42. 銅戈 長さ24.1cm 西周
43. 銅戈 長さ25.4cm 西周
44. 銅剣 長さ42.0cm 春秋後期~戦国
45. 銅剣 長さ42.4cm 春秋後期~戦国
46. 銅剣 長さ42.9cm 春秋後期~戦国
47. 銅剣 長さ52.5cm 春秋後期~戦国
48. 細形銅剣 長さ19.8cm 朝鮮半島 青銅器時代
49. 細形銅剣 長さ34.8cm 朝鮮半島 青銅器時代
50. 銅鏃(6点) 左の長さ12.5cm 殷周~漢
51. 銅鏃(2点) 朝鮮半島 青銅器時代 長さ5.7・5.5cm
52. 巴形銅器 幅5.5cm 出土地不詳
53. 銅釧 径6.8cm 出土地不詳
54. 銅銭(8点) 径2.3~2.5cm、長さ5.0cm 漢
55. 五銖銭青銅笵 長さ23.4cm 漢
56. 星雲文鏡(九曜鈕四?文鏡) 前漢 径11.4cm
57. 草葉文鏡(方格式) 径11.5cm 前漢
58. 異体字銘帯鏡(日光内行花文鏡) 径7.8cm 前漢
59. 異体字銘帯鏡(清白鏡) 径9.9cm 前漢
60. 内行花文鏡(長宜子孫) 径21.5cm 後漢
61. 五銖盤龍鏡 径9.0cm 三国
62. 尚方銘方格規矩鏡 径14.0cm 三国
63. 位至三公双龍鏡 径11.2cm 三国
64. 画文帯神獣鏡 径12.5cm 三国
65. 冷水冲型銅鼓 鼓面径76.3cm 中国貴州省、広西壮族自治区付近 AD3c~
66. 石寨山型銅鼓 鼓面径28.5cm タイ、バンチェン BC3c~BC2c
67. 麻江型銅鼓 鼓面径50.0cm 中国貴州省、広西壮族自治区付近 14c~17c
68. 麻江型銅鼓 鼓面径46.9cm 中国貴州省、広西壮族自治区付近 14c~17c
69. 西盟型銅鼓 鼓面径49.0cm ミャンマー東部(カレン社会)17c~
70. 西盟型銅鼓 鼓面径67.6cm ミャンマー東部(カレン社会) 18c~
参考資料
8. 袈裟襷文銅鐸(贋作) 高さ17.8cm 奈良県(推定)
9. 横帯文銅鐸模型(レプリカ) 高さ27.6cm 伝出雲国(島根県)
10. 銅鐸鋳型片模型(石膏) 縦4×横5.5cm 姫路市名古山遺跡住居内竪穴
11. 銅鐸鋳型復原模型(レプリカ) 高さ32.7cm 姫路市名古山遺跡住居内竪穴
16. 中広形銅矛(贋作) 長さ69.0cm 不詳
17. 広形銅矛(贋作) 長さ42.2cm 不詳
18. 広形銅矛(贋作) 北九州? 長さ83.0cm