第91回企画展「二度見する造形―古代の焼物から―」
91st Feature Exhibition
Plastic Arts which Make You Do a Double Take : Ancient Pottery Collection
当館所蔵の古代の焼物から、つい「二度見」したくなるような造形を選び、展示します。
現在の私たちから時間的にも空間的にもかけ離れて行くにつれて、違和や異質さを感じるようになります。しかし、近い地域であっても改めて見てみると、おもしろいと感じるものも少なからずあります。
造形美を楽しんでいただくとともに、その背景にある世界観や情念に思いを馳せてもらえれば幸いです。
現代は高度な情報社会で、知りたい情報はすぐに手に入る時代です。しかし実態は次から次へと「流し見」しているだけではないでしょうか。ちょっと立ち止まって古代の造形を「二度見」してみませんか。
会期:2023年1月18日(水)~3月6日(月)
休館日:火曜日
時間:午前9時30分~午後4時30分(入館は午後4時まで)
入館料:大人500円・団体(20名以上)400円・小中高生300円 ※常設展示もご覧いただけます
会場:天理大学附属天理参考館 3階企画展示室 【交通アクセス】
主催:天理大学附属天理参考館
後援:天理市・天理市教育委員会・歴史街道推進協議会
●出品リスト(ファイル名:p91_list.pdf ファイルサイズ:54KB)
●第91回企画展チラシ(ファイル名:91-chirashi.pdf ファイルサイズ:1.13MB)
関連イベント
●記念講演会
「古代の土器から見たオリエントと中南米の世界観」
日時:2023年2月4日(土) 午後1時30分から午後3時
講師:須藤 寛史氏(岡山市立オリエント美術館学芸員)
会場:天理参考館 2階ホール
定員:30名【事前申込制】
●トーク・サンコーカン(講演会)
「古代の造形美術から見る人間精神―本館所蔵の焼物から―」
日時:2023年1月20日(金) 午後1時30分から午後2時30分
講師:巽 善信(当館副館長)
会場:天理参考館 2階ホール
定員:30名
「古代アンデスの土器づくり」
日時:2023年2月23日(木・祝) 午後1時30分から午後2時30分
講師:荒田 恵(当館学芸員)
会場:天理参考館 2階ホール
定員:30名
●VRで壺を覗こう&笛吹きボトル模型で音を鳴らしてみよう
日時:2023年1月27日(金)・2月10日(金) いずれも午後1時30分から午後3時30分
会場:天理参考館 3階ロビー
※感染症対策を講じた上で先着順に体験していただきます。
展示構成
【I 特異な象形】
古代においては、たとえば粘土という限られた媒体を用い、限られた目的で限られた表現方法で作られている。一つ一つに注入されるエネルギーは相当なものと言える。特に動物や建物などを象る場合、その背景にある理念・情念を注ぎ込んでいる。まさに念には念を入れての制作であった。様々な目的のために、様々な媒体を用い、様々な表現方法で大量生産されている現在とは大きく異なる。多種多様な表現方法を知っている現代の私たちが、それをもって古代の造形を判断すると、表現されている本質的なことを見間違うかも知れない。
【II 特殊な構造】
貯蔵・煮炊き・盛り付けなどに使う日常容器は、現在とさほど変わらない。それらとかけ離れた形態・構造を持つものは、やはり特殊であり、現在の私たちからすれば一風変わったものである。ある年代のある地域で行われていた特殊な宗教儀式に用いられた専用の焼物となれば、ほとんど理解できない。一方で時代も地域もかけ離れていて両者に影響関係は認められないのにもかかわらず、同じような特殊な構造を持つものが出現していたりするのも興味深いところである。人間に共通する深層心理から発生するものであろうか。
【III 特有のおもしろさ】
特徴的な装飾や形態をしていて、特有のおもしろみのあるものを集めてみた。その一つで世界観を表しているようで感心したり、どうしてこういう形になっているのだろうかと不思議に思ったりする。じっくり見ていると、それぞれに味わいが出て飽きない。