第88回企画展「きれいになりたい―櫛・簪・笄とお洒落― 初公開 百助コレクション」
The 88th Feature Exhibition
I want to become pretty -The Stylish Elegance of Japanese Combs and Ornamental Hairpins-
First public release of The “Hyakusuke” collection
“きれいになりたい-” それは誰もが抱く美への憧れ。
日本髪は、江戸時代に発達する独特の結髪手法を駆使したヘアスタイルで、それを華やかに飾るのが櫛・簪・笄などのヘアアクセサリーです。
その精緻な細工をご覧いただき、当時のおしゃれ心に思いを巡らせてください。
浅草の老舗化粧品店「百助」から受贈したコレクションの初公開です。
◆会期:2022年1月5日(水)~2月28日(月)
◆休館日:火曜日(1月25日は開館します)
◆時間:午前9時30分~午後4時30分(入館は午後4時まで)
◆会場:3階企画展示室1・2
◆主催:天理大学附属天理参考館
◆後援:天理市・天理市教育委員会・歴史街道推進協議会
◆協力:南登美子・京都美容文化クラブ・一般財団法人伝統文化保存協会・ビューティサイエンス学会・天理大学附属天理図書館
●出品リスト(ファイル名:p88-list-5.pdf ファイルサイズ:134KB)
●チラシ(ファイル名:88-chirashi.pdf ファイルサイズ:540KB)
●図録 A4版 カラー16ページ 700円
図録の販売についてはこちらをご覧ください。
関連イベント
●トーク・サンコーカン
「髪を飾るおしゃれ―櫛・簪・笄の美―」【終了しました】
日時:2022年1月22日(土) 午後1時30分から午後2時15分
講師:幡鎌 真理(当館学芸員)
会場:天理参考館 2階ホール
定員:30名【事前申込み制】
「お洒落(しゃれ)」とは、やはり「着飾る」ことでしょうか。「着」で連想するのは衣服ですが、「飾」の文字には髪の飾り、ひいては髪の意味があります。身につけて飾るものは、それぞれの民族の生活様式や社会の有様のほか、衣服や髪形によっても大きく影響されます。
江戸時代の装いは、基本的に色調や文様が華やかな着物であったため、そこに付け足す宝飾品のような装身具が発達しなかったと考えられています。その江戸時代に、前髪、髷(まげ・頭頂部)、鬢(びん・顔の両端部)、髱(たぼ・後頭部)の4つのパーツに髪を分けて複雑に結い上げる日本髪が生まれ、そして次々にモデルチェンジが繰り返されます。女性たちは身分制社会のなかで制約を受けながらも美を求めます。支配階層であっても貴金属を身にまとう習俗が普及しなかった当時、装飾品はおのずと手にのるような櫛・簪・笄に集約されました。
美しく結い上げられた髪に挿した鼈甲(べっこう)や蒔絵(まきえ)の櫛は華やかさを、珊瑚のびらびら簪は愛らしさを、曲線を描く象牙や唐木の笄は優美さを髪に吹き込みました。江戸時代に完成した日本髪は、それを飾る櫛・簪・笄がなければ、これほど美しかったでしょうか。そしてこの髪形は多様であっても、結う人に自由な選択権はなく、形が決まっています。枠にはまった形のなかで個性を表現するには、髪飾りの力を借りるしかありません。江戸時代以降の髪飾りは、その女性のお洒落心を端的に示すものと言えます。
「きれいになりたい」、女性のこの思いが、世界でも群を抜く日本の多彩な髪飾り文化を発展させました。
今回展示するこれら繊細で美しい髪飾りは、浅草寺門前に店を構える老舗化粧品店百助の長年にわたる収集品です。
当館が受贈した百助コレクションを鑑賞するこの機会に、彼女たちの思いに寄り添っていただければ幸いです。
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