第87回企画展「物部氏の古墳 杣之内古墳群」
天理市の市街地には、日本最大の前方後方墳である西山古墳や、古代豪族物部氏の首長墓と考えられる西乗鞍古墳・塚穴山古墳などの大型古墳が残っており、杣之内古墳群と呼ばれています。また明治時代以降の記録によると、杣之内周辺にはもっと多くの古墳があったことがわかります。さらに近年の発掘調査によって、群集墳もみつかっています。
本展は天理市教育委員会と天理大学附属天理参考館が共同で、杣之内古墳群の大小さまざまな古墳から出土した遺物をご紹介します。さらに巨石を使った大型横穴式石室がある塚穴山古墳の発掘調査記録と出土品から、古墳築造から近世にいたる塚穴山古墳の歴史をたどります。
杣之内古墳群の豊富な出土品から、物部氏が繁栄した古代の天理をご想像いただけると幸いです。
◆会期:2021年7月14日(水)~9月6日(月)
◆時間:午前9時30分~午後4時30分(入館は午後4時まで)
◆会場:3階企画展示室1・2
◆主催:天理大学附属天理参考館・天理市教育委員会
◆後援:奈良県・天理市・天理市観光協会・歴史街道推進協議会
◆協力:埋蔵文化財天理教調査団・天理大学文学部歴史文化学科・天理大学歴史研究会・奈良県立橿原考古学研究所附属博物館・奈良教育大学金原研究室
●解説書『物部氏の古墳 杣之内古墳群』(A4判 本文69ページ カラー)は天理市埋蔵文化財センター(文化財課)より配布しております。詳細はこちら(天理市HP)をご覧ください。
関連イベント
●記念講演会
「杣之内古墳群と布留遺跡からみた物部氏」
[講演要旨] 天理教教会本部から石上神宮にかけてひろがる布留遺跡は、古代有力豪族である物部氏の拠点として古代史・考古学界で名が知られています。この講演では、その墓域と目される杣之内古墳群とともに、新たに解明されつつある物部氏の実像に迫ります。
日時:2021年8月28日(土) 午後1時30分から午後2時30分
講師:中久保 辰夫氏(京都橘大学准教授)
会場:天理参考館2階ホール
定員:40名【定員に達しましたので申込みを締め切りました】
●トーク・サンコーカン
「物部氏の巨大古墳 塚穴山古墳とその周辺」
日時:2021年7月15日(木) 午後1時30分から午後2時15分
講師:藤原 郁代(当館学芸員)
会場:天理参考館 2階ホール
定員:30名【定員に達しましたので申込みを締め切りました】
展示構成
[杣之内古墳群の首長墳]
日本最大の前方後方墳である西山古墳や全長118mの西乗鞍古墳など、大型古墳の出土品は、杣之内古墳群の始まりと物部氏の権勢をものがたっています。
[杣之内古墳群の中小古墳]
杣之内周辺には、現在は消滅して痕跡をとどめない中小規模の古墳も複数あったことが記録に残っています。さらに近年、大型古墳の周りでいくつもの群集墳が発見され、手工業などに従事した人々の墓と考えられています。杣之内古墳群は現状よりもずっと多様な古墳によって構成されていました。
[杣之内古墳群の終焉]
塚穴山古墳は古墳時代終末期に築かれた大型の円墳です。墳丘および石室の大きさは蘇我馬子の墓と言われる飛鳥の石舞台古墳に匹敵していて、物部氏の実力を物語っています。しかし詳細は知られていません。天理参考館は塚穴山古墳の石室を発掘調査したことがあり、調査時の写真と図面、出土品を所蔵していますが、内容はこれまでほぼ未公表でした。出土品を見ると、古墳時代以降近世に至るまで、塚穴山古墳が祈りの場や葬地として利用され続けていたことがわかります。各時代の遺物を通して塚穴山古墳の変遷をたどり、さらに塚穴山古墳以降の杣之内古墳群についても触れます。
- 参考館関連ニュース
第87回企画展
「物部氏の古墳 杣之内古墳群」1分33秒 - 天理参考館この一品
第8回
「布留遺跡・円筒埴輪」2分24秒 - 天理参考館この一品
第31回
「日本・馬形埴輪」2分32秒
- 天理参考館のこころ
第11回
「自然のタイムカプセル―発掘作業―」12分51秒